
まず長男が罹病、割合軽くすみ、次いでわたしがかかりストマイでようやく熱が下がった。遅く罹病すると病気は重いと言われるが、そのうち光二がかかって発熱、「体温計が壊れているんじゃないか」と思われるほどに熱が出た。それでも、ストマイのお陰で回復した。一時はどうなるかと心配したほどだった。当時、私たちはまだストマイが身体に悪く、聴神経に悪影響するとは考えなかったし夢にも思わなかった。
そのうち光二の耳が何だか臭いと主人が言い出した。それに、光二は、「ウマウマ」とも言わなくなり発音もしなくなり、「光ちゃん」と後ろから呼んでも振り向かないし、何の反応も示さない。「これはおかしい」と思い早速、桜木町の耳鼻科医院で診察してもらったら、中耳炎という診断であった。一向に回復しないので東京の大学病院に診察してもらい、原因を調べて頂くのが第一と考えた。
先生は、「背骨を海老のように曲げて脊髄から水を取る方法もある」と言う。私も主人も、「それをやればよくなるんですか」と聞くと、「やってみなければわからない」と言われた。無責任なその話に呆然としていると看護婦さんがきて、「先生の言う通りにしたら、よくなる人はまれで死ぬ人の方が多い」と言ってくださった。それも先生の目を盗んで困っている私たちにそっと言ってくださった。
「そうだ、死んだら元も子もなくなる。耳が聞こえなくとも手も足も悪くないんだし、そんな無茶なことをしてまでやる必要はない。きっとわからないんだな」とそこを後にした。
家に帰ったがじっとしておられず、今度は生麦の指圧治療が病院から見放された人でも治す、
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